株式会社アークリブ

不動産業界に精通した現役FPによる解説
不動産業界に精通した
現役FPによる解説

不動産とお金に関する疑問や悩みにお答えします

Q

わたしの年収(500万円+妻200万円)だとどのくらいまでのローンが組めるのでしょうか?簡単に教えてください。

A 一般的に「世帯年収の7倍〜8倍程度」まで借入可能ですが、返済の安全性から「5倍〜6倍」を推奨しています。

世帯年収700万円の場合、金融機関の審査上は最大で5,000万円〜5,500万円程度までローンを組める可能性があります。しかし、これはあくまで「借りられる額」であり、「無理なく返せる額」とは異なります。

昨今の物価高騰や、長らく続いた低金利政策の見直し(金利上昇リスク)を考慮すると、より現実的な目安は以下の通りです。

借入額の目安: 4,200万円〜4,900万円程度(年収の6〜7倍以内)

返済のシミュレーション: 例えば、4,900万円を35年返済で借りた場合、変動金利が上昇局面にあることを想定し、少し高めの実行金利0.6%で試算すると、月々は約12.9万円の返済となります。

注意点: 住宅ローン以外にも、マンションであれば管理費・修繕積立金、戸建てであれば固定資産税やメンテナンス費などの「維持費」が月々数万円かかります。また、変動金利を選択する場合は、将来の金利上昇によって月々の返済額が増えるリスクがあるため、余裕を持った資金計画が重要です。

まずは「いくら借りられるか」よりも、現在の家計から「月々いくらなら無理なく払えるか」を基準に考えるのが失敗しないコツです。最新の金利動向を反映したシミュレーターなどで、将来の金利上昇パターンも含めて試算してみることをおすすめします。

Q

信用情報に傷が付いていても住宅ローン審査は通りますか?

A 原則として審査通過は非常に厳しくなりますが、状況次第では可能性があります。まずは「現状の把握」から始めましょう。

住宅ローンの仮審査において、個人信用情報機関(CIC、JICC、KSCなど)に登録されている支払い遅延や延滞の履歴は、最も重視されるポイントの一つです。クレジットカードや各種ローンの支払いに遅れがある場合、審査の初期段階で否決(NG)となる可能性が高くなります。

ただし、以下の点を確認することが重要です。

1・情報の保存期間を確認する。

 延滞などの履歴は一生残るわけではありません。完済から一定期間(一般的に5年〜7年)が経過すれば抹消されます。

2・「うっかり失念」か「異動(ブラック)」か?

数日の遅れが一度きりなのか、数ヶ月の滞納があるのかで判断が分かれます。不安な場合は、ご自身で信用情報を開示(情報を取り寄せること)して中身を確認するのが確実です。

3・特定のローンに強い窓口へ相談する。

 全ての金融機関が同じ基準ではありません。過去に問題があっても、現在の年収や勤続年数、頭金の額などで総合的に判断してくれる金融機関も存在します。

心当たりのある方は、闇雲に複数の銀行へ申し込む前に、一度アークリブへご相談ください。現在の状況を整理し、審査に通る可能性を最大限に高めるためのアドバイスをさせていただきます。

Q

住宅ローンは何年ぐらいで組むのが良いですか?短ければ短い方がいいのでしょうか?

A 住宅ローンは「繰り上げ」は可能ですが、後から「延長」することは原則できません。まずは「最長期間(35年など)」で組み、余裕を見て返済していくのが賢い選択といえます。

1. 「長く借りて、短く返す」がリスク回避の鉄則

一般的に返済期間を短くすれば、支払う利息の総額を抑えられるメリットがあります。しかし、期間を短く設定しすぎると毎月の返済額が高くなり、病気や収入減少などの不測の事態に家計が圧迫されるリスクが生じます。 後から返済期間を延ばすことは審査が非常に厳しく困難なため、まずは最長で借りて毎月の負担を最小限に抑え、余裕ができた時に「繰り上げ返済」で期間を短縮するのが最も安全な方法です。

2. 団体信用生命保険(団信)という「保険」の活用

住宅ローンには「団体信用生命保険(団信)」が付帯しており、契約者に万が一のことがあった際、ローンの残債がゼロになります。あえて期間を長く、手元に現金を残しておくことで、万が一の際にご家族には「住宅(残債なし)」と「手元の現金」の両方を残すことができます。金利上昇局面においては、手元資金を運用や貯蓄に回すメリットも考慮すべきです。

3. 住宅ローン控除と繰り上げのタイミング

現在、最大13年間の住宅ローン控除(減税)を受けられる制度があります。ローン残高に応じて税金が戻ってくるため、金利が低い間は、控除期間が終わるまであえて繰り上げ返済をせず、控除を最大限に受けてからまとめて返済した方がトータルでお得になるケースが多いです。

まずは35年など長期でローンを組み、毎月の固定費を安定させましょう。その上で、お子様の教育費の目処がついた際や、住宅ローン控除が終了したタイミングで、家計の余力を見ながら効率よく繰り上げ返済を行っていくのがおすすめです。

金融広報中央委員会の「知るぽると」などで、最新の金利動向を踏まえた繰り上げ返済のシュミレーションも可能です。ぜひライフプランに合わせた最適な計画を立ててみてください。

Q

住宅ローンは固定金利と、変動金利どちらがいいですか?

A どちらが良いかは、お客様の家計の余力や、将来の金利上昇リスクに対する考え方によって異なります。

これまでは歴史的な低金利が続いてきましたが、2024年にマイナス金利政策が解除され、現在は「金利が上昇する局面」に入っています。そのため、単に「今の金利が低いから」という理由だけで選ぶのではなく、完済までのシミュレーションがより重要になっています。

固定金利(全期間固定・段階金利など)

【メリット】

返済額の確定 : 借入時に完済までの返済額が確定するため、長期的な生活設計や予算管理が非常に容易です。

金利上昇リスクの回避 : 今後さらに市場金利が上昇しても、自身の返済額には影響しないため、安心感があります。

【デメリット】

初期金利の設定 : 一般的に変動金利よりも高く設定されています。

低金利の恩恵を受けにくい : 市場金利が低下したとしても、高い金利のまま固定されます(ただし、現在は上昇傾向にあるためこのリスクは低くなっています)。

変動金利

【メリット】

低コストなスタート : 固定金利に比べて適用金利が大幅に低いため、初期の月々の返済額を抑えることができます。

金利低下時の自動追従 : 金利が下がれば、さらに返済額が減る可能性があります。

【デメリット】

返済額の不透明性 : 半年ごとの金利見直しにより、将来の返済額が増加するリスクがあります。

未払利息のリスク : 急激な金利上昇が起きた場合、月々の返済額が利息の支払いに追いつかず、元金が減らない(または増える)「未払利息」が発生する可能性があります。

2026年現在の重要ポイント

17年ぶりの利上げを経て、各金融機関は短期プライムレート(変動金利の基準)を引き上げる動きを見せています。変動金利を選ぶ場合は、「金利が1〜2%上昇しても家計が破綻しないか」という余裕を持った資金計画が不可欠です。

Q

持ち家と賃貸、どちらが良い?

A 持ち家と賃貸にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、長期的なライフプランで見ると、現在は「購入」を選択するメリットが大きいケースが多く見られます。

よく言われる「1,300万円の差」とは

老後の住居費: 月々7万〜7.5万円の賃貸に住み続けた場合、定年後の15年間だけで家賃の総額は約1,300万円になります。持ち家でローンを完済していれば、この固定費を大幅に抑えられます。

資産性の違い: 同じグレードの物件に住む場合でも、支払う総額の差だけでなく、最終的に「資産(家・土地)」が手元に残るかどうかが大きな差となります。

※ただし、修繕積立金や固定資産税、将来のメンテナンス費用を考慮したシミュレーションが重要です。

持ち家のメリット

資産形成 :  数十年単位で見ると、家賃という「掛け捨て」の支出ではなく、完済後に自分の資産になるため、老後の安心感につながります。

住宅ローン控除 :  住宅ローンを組んで一定の要件を満たせば、所得税や住民税の控除を受けられます。(※2024年現在の税制では、合計所得金額2,000万円以下の方が対象です。改正により借入限度額や控除率が変動するため注意が必要です。)

老後の居住安定性 :  高齢になると賃貸契約の更新や新規契約が難しくなるケースがありますが、持ち家であればその心配はありません。

団体信用生命保険(団信) :  万が一、契約者に不幸があった場合や、高度障害状態になった場合、ローンの残債が免除されます。家族に住まいを残せるという、生命保険代わりの機能も果たします。

持ち家のデメリットと注意点

流動性の低さ :  簡単に住み替えができないため、頻繁に転勤がある方や、数年ごとに住環境を変えたい方には不向きです。転勤時に「単身赴任」か「売却・賃貸出し」かの選択を迫られます。

住居費の固定化 :  収入が減少してもローンの返済額は変わりません。また、固定資産税や都市計画税、マンションの場合は管理費・修繕積立金の支払いも継続します。

結論:どちらを選ぶべきか

以下のような方には、持ち家よりも「賃貸」や「ホテル暮らし・サブスク住居」が向いていると言えます。

  • 全国に支社がある大手企業で数年に一度必ず転勤がある方
  • 事業で世界中を飛び回るなど、一箇所に定住する必要がない方
  • 所得が非常に高く、資産運用効率を最優先する方(または住宅ローン控除の対象外となる方)
  • フリーランスなどで、旅するように日本中を自由に移動しながら暮らしたい方

逆に、「将来の住居費を抑えたい」「家族に資産を残したい」「老後の住まいを確実に確保したい」と考える方にとっては、現時点においても持ち家の購入は非常に有力な選択肢となります。

Q

現在、住宅購入のための頭金を貯めていますが、「頭金なし(フルローン)」で購入しても最終的な支払額はそれほど変わらないという話も聞きます。もし差がないのであれば、年内にも購入したいと考えているのですが、いかがでしょうか?

A 家賃を払い続けながら時間をかけて頭金を貯めるよりも、低金利のメリットを活かして早めに購入した方が、生涯コストを抑えられるケースが増えています。

一般的に「住宅購入には、まず物件価格の1〜2割の頭金が必要」と考えられがちですが、現在の市場環境では必ずしもそれが正解とは限りません。

確かに、すでにある程度の手元資金があり、それを頭金に充てるのであれば、借入額を減らすことで利息負担を軽減できるという明確なメリットがあります。しかし、「今から頭金を貯め始める」という場合は、注意が必要です。

賃貸物件にお住まいの場合、頭金として数百万を貯めるまでの数年間、毎月数万〜十数万円の「家賃」を支払い続けることになります。この支払った家賃は資産にはなりません。一方で、住宅ローンであれば、同等の支払額で借入金の返済(=資産形成)を進めることができます。

さらに、昨今の状況では以下のリスクも考慮すべきです。

住宅価格の上昇: 頭金を貯めている間に物件価格が上昇し、貯めた金額以上の負担増になる可能性があります。

住宅ローン金利の変動: 現在は歴史的な低金利ですが、今後金利が上昇局面に入ると、借入条件が悪化するリスクがあります。

完済年齢の高齢化: 購入を先延ばしにするほど、ローンの完済年齢が上がり、老後の家計を圧迫する要因となります。

「今すぐフルローンで購入した場合にかかる利息」と、「頭金が貯まるまでに支払う家賃の総額」に加え、税制優遇(住宅ローン控除)や将来の物件価値も含めて、生涯にかかる住居費をトータルでシミュレーションしてみることをおすすめします。

Q

私はマンションの高層階を購入したいのですが、妻が断固一戸建てと譲りません。どちらがおすすめですか?

A 何を最優先するか、そして「出口戦略(将来売る・貸す可能性)」をどう考えるかで最適解は変わります。

マンションと戸建て、それぞれに現代ならではのメリット・デメリットがあります。単なる好みの問題だけでなく、ライフスタイルと家計のシミュレーションを合わせた比較が重要です。

マンションのメリット:利便性と防犯性、そして「流動性」

高い防犯性とプライバシー: オートロックや監視カメラ、有人管理などセキュリティが強固で、特に高層階は外部からの侵入リスクが低く、安心感があります。

利便性と快適性: 駅近物件が多く、通勤・通学に有利です。また、ゴミ出しが24時間可能だったり、共用部分の清掃が不要だったりと、忙しい共働き世帯には大きなメリットです。

売却のしやすさ: 立地が良いマンションは市場での流動性が高く、将来の住み替えや相続の際、現金化しやすい傾向にあります。

一戸建てのメリット:自由度と土地資産、そして「管理費ゼロ」

圧倒的な自由度: 間取りの変更、ペットの多頭飼い、庭での趣味など、周囲に気兼ねなく自分たちの理想を追求できます。駐車場代がかからない点も大きな強みです。

土地という確かな資産: 建物が老朽化しても「土地」の価値は残ります。将来的に建て替えをしたり、更地にして売却したりと、資産活用の選択肢が広いです。

ランニングコストのコントロール: マンションのような強制的な管理費・修繕積立金の増額リスクがありません。自分のタイミングと予算でメンテナンス計画を立てられます。

将来を見据えて最善の選択を

マンションと戸建てのどちらにするかは、10年後、20年後の家族構成やライフプランを具体的に描いて判断する必要があります。

今のトレンド: 最近では、将来の住み替えを見越して「資産価値が落ちにくい都心マンション」を選ぶ層と、テレワークの普及により「郊外で広さとゆとりを確保できる戸建て」を選ぶ層で二極化しています。

まずは、ご夫婦で「絶対に譲れない条件」を3つずつ出し合ってみてください。 「眺望」というこだわりと、「自由度やコスト」というこだわり。どちらが自分たちの人生を豊かにするか、客観的な資金計画(シミュレーション)を専門家と一緒に作成してみるのも一つの手です。

Q

住宅ローン控除や、固定資産税といった税金関係について教えてください。

A 不動産と税金について簡単に解説します。

住宅ローン控除について

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームの新築・取得・リフォームをした際に、年末のローン残高に応じて所得税や住民税が減税される制度です。

主な要件と内容

控除率と期間: 年末時点のローン残高の 0.7% が最大 13年間(中古住宅は10年間)控除されます。

所得制限: 合計所得金額が 2,000万円以下 であることが条件です。

床面積: 原則として床面積が 50㎡以上 である必要があります(所得1,000万円以下に限り、2024年末までに建築確認を受けた新築などは40㎡以上から対象)。

借入限度額: 住宅の省エネ性能(ZEH水準、省エネ基準適合など)によって、控除対象となる借入限度額が大きく異なります。性能が低い(省エネ基準に適合しない)新築住宅の場合、原則として住宅ローン控除が受けられなくなっている点に注意が必要です。

計算例: 年末のローン残高が3,000万円の場合 30,000,000円 × 0.007 = 210,000円 この金額がその年の所得税(及び一部の住民税)から差し引かれます。

固定資産税について

固定資産税は、毎年1月1日時点での土地・建物の所有者に対し、その評価額に基づいて課される地方税です。

計算の基本: 固定資産税額 = 課税標準額(評価額) × 税率(標準1.4%) ※評価額の目安は、土地は公示価格の約7割、建物は建築費の約5〜7割程度と言われています。

そのまま計算すると高額になりますが、住宅には以下のような強力な特例(軽減措置)があります。

1. 住宅用地の特例(土地)
住宅が建っている土地については、面積に応じて課税標準額が減額されます。

小規模住宅用地(200㎡までの部分): 評価額が 6分の1 に

一般住宅用地(200㎡を超える部分): 評価額が 3分の1 に

2. 新築住宅の税額軽減(建物)
新築から一定期間、建物分の固定資産税が 2分の1 に減額されます。

要件: 居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること。

期間: 一般の戸建ては 3年間、マンション(耐火・準耐火建築物)は 5年間。 ※長期優良住宅の認定を受けている場合は、それぞれ 5年間(戸建て)、7年間(マンション) に延長されます。

特例を使った計算

土地(1,500万円)の評価額:1,050万円 → 特例適用(1/6)で約175万円 175万円 × 1.4% = 24,500円

建物(3,000万円)の評価額:2,100万円 → 軽減適用(1/2)で1,050万円 1,050万円 × 1.4% = 147,000円

合計:171,500円

このように、特例を利用することで、当初のシミュレーション(約44万円)に比べ、現実的な納税額(約17〜18万円程度)に抑えられる仕組みになっています。