FINANCIAL – 不動産とお金の話

不動産業界に精通した現役ファイナンシャルプランナーが、不動産とお金に関する疑問や悩みにお答えします。「賃貸と持ち家、どちらが得か?」や「一戸建てとマンション、どちらを選ぶべきか?」といった皆様が抱える素朴な疑問に、専門的な視点で分かりやすく解説します。知識を深め、より納得のいく選択をしていただくための情報を提供いたします。ぜひ参考にして、ご自身の将来設計にお役立てください。

Q

わたしの年収(500万円+妻200万円)だとどのくらいまでのローンが組めるのでしょうか?簡単に教えてください。

A 一般的に年収の約5倍~7倍程度までローンが組めるといわれています

世帯年収700万円であれば、ざっくり5,000万円弱までローンが組めることになりますが、この目安はあくまで一般的なものであり、具体的な審査では収入や支出、貯蓄、ローンの金利や返済期間など多くの要素が考慮されます。

実際にローンを組む場合は毎月の収支などを踏まえ、無理のない金額でローンを組むようにしましょう。例えば4900万円を35年払い(変動金利で0.4%と仮定)すると月々12.5万円程度の返済になります。これを60代~70代まで現実的に無理なく支払えるかどうか、ご家族でよく話し合って決定しましょう。

スーモの住宅ローンシュミレーションがわかりやすいので、毎月の返済額などを調べてみましょう。

Q

信用情報に傷が付いていても住宅ローン審査は通りますか?

A 残念ですが、審査に通る可能性は極めて低いと思われます。

住宅ローンの仮審査では信用情報が重要視されます。CIC、JICC、KSCなどにクレジットカードやローンの支払い遅れなどが登録されると、仮審査の段階で高確率でNGになるでしょう。身に覚えがある方は信用情報の問題が消えるまで、頭金を貯めておくのがおすすめです。

しかし、100%とは言い切れません。ローンに不安のある方は一度アークリブにご相談ください。

Q

住宅ローンは何年ぐらいで組むのが良いですか?短ければ短い方がいいのでしょうか?

A ローンの繰り上げは出来ますが延長は出来ないので、最初は長い方が良いでしょう

一般的な考え方としては短期間で返済することが金利負担を減らし、総返済額を減らす効果があります。しかし、短期間での返済は月々の返済額が高くなります。また生活スタイルや仕事、収入の変化によって負担が大きくなる場合もあります。

住宅ローンは延長(20年→35年など)はできませんが、繰り上げることは出来ます。昇給や事業等が順調に計画通り進み余裕が出てきたら繰り上げする方が良いのでは?

また、35年ローンを組んで、20年で組んだ場合との差額を貯蓄しておき、数年ごとに繰り上げ返済していくのもおすすめです。

金融広報中央委員会の「知るぽと」で繰り上げ返済のシュミレーションができます。こちらもご参考に。

Q

住宅ローンは固定金利と、変動金利どちらがいいですか?

A どちらが良いかは個々の状況や優先事項によって異なります

一般的には、長期のローンを検討する場合や金利が低い時期に固定金利を選択することが多いです。しかし、金利が急上昇する可能性が低く、将来の支払い額の変動に対するリスクを取りたくない場合は固定金利が適しています。

金利が低い時期に借り入れたい場合や短期的なローンを検討する場合は変動金利が有利かもしれません。

固定金利

固定金利のメリット

・金利が固定されているため、返済額が安定しており、予算の管理が容易です。
・金利が上昇しても、借入金利は変わらないため、予測可能性が高く安心感があります。

固定金利のデメリット

・初期の金利が変動金利よりも高い場合があります。
・金利が下がっても、自動的に適用されないため、低金利の恩恵を受けることができません。

変動金利

変動金利のメリット

・初期の金利が固定金利よりも低い場合があります。
・金利が下がれば、月々の支払い額も低くなります。

変動金利のデメリット

・金利が変動するため、返済額が変動し、予算の管理が難しくなります。
・金利上昇時に、返済額が増加する可能性があります。
※2024年は17年ぶりに利上げしマイナス金利が解除されました。今後の動向に要注意です。

Q

SNSで持ち家より賃貸とよく見ますが、持ち家の方が「1,300万円」得になるという話もあります。実際は?

A 双方にメリットデメリットがありますが、購入をおすすめします

よく言われる「1,300万円の差」とは

・家賃が7万から7万5千円程度の賃貸に住む場合、定年後15年間の家賃額の合計が1,300万円程度になる
・または同じグレードの家を借りるか買うかで差が1,300万円程度となる

条件によって金額は全然変わってきますが購入した方が長い目でみると得という説です。

持ち家のメリット

実際数十年単位で見ると購入した方がお得になるケースが多く、完済すれば自分の資産になります。

住宅ローンを組めば控除を受ける事も出来ます。賃貸で家賃を払っても減額はされないので持ち家の方がトクだといえるでしょう。※所得が2000万円以上だと控除されない。

老後は毎月の家賃を支払うのが大変です。賃貸契約そのものを結ぶことも難しくなります。持ち家であればそういった心配はなくなります。

また万が一の場合でも、団体信用生命保険でその後のローン支払いが免除されるので、ご家族が路頭に迷うことはありません。

持ち家のデメリット

・引っ越しや住み替えが簡単にはできない。転勤になると単身赴任になる事が多い。
・収入に合わせて住居を変える事ができない。収入が下がってもローンはそのまま。
・固定資産税がかかる

などがデメリットです。一番の問題は簡単に住み替える事ができないという点でしょう。

全国に支社のある大手企業で数年に一度必ず転勤がある方や、事業で世界中飛び回っているような方、所得が2000万円を超える方、フリーランスで日本中を旅するように住んでみたいといった方は持ち家より賃貸やホテル暮らしの方が良いと思います。

Q

今家を買うための頭金を貯めていますが、頭金なしで買っても変わらないとも聞きます。差がないなら今年中に買いたいのですが。

A 家賃を払いながら頭金を貯めるより、利息が多少かかっても早めに購入した方が良い場合が多いです

家を購入するというと、頭金を最低でも数百万貯めてから買った方がトクと考える方が多いと思いますが、果たしてそうなのでしょうか?

数百万を既に持っていて、これを頭金にしようという場合は借入額も減り利息も減るのでいい事づくめですが、今から貯めて買おうという場合はそうとも言い切れません。

実家暮らしの方は問題ありませんが、賃貸に住んでいる方の場合、頭金にする数百万を貯めるまで家賃を払い続けることになります。

今すぐ購入した場合にかかる利息と、頭金が貯まるまでに払う家賃の比較など含め、生涯に支払う住居費を計算してみるとよいでしょう。

Q

私はマンションの高層階を購入したいのですが、妻が断固一戸建てと譲りません。どちらをおすすめしますか?

A セキュリティーや眺望ならマンション、自由度の高さや土地の価値を重視するなら戸建てといったように何を重視するかで変わります。

マンションと一戸建てのどちらが最適かは、個々のライフスタイルや優先順位によって異なります。

マンションの良さ

眺望や日当たりの良さ、セキュリティ面ではマンションの方が良いとされています。オートロックに管理人のいるエントランスは安心感があります。また高層階であれば空き巣も入りにくいでしょう。駅近の物件が多いのも住みやすく魅力です。

一戸建ての良さ

土地の価値や自由度は戸建てに軍配が上がります。リノベーションや建て替えもその気になればいつでもできます。注文住宅で自分の理想通りの間取りやデザインにすることも可能です。マンションのように管理費、修繕積立金、駐車場代等などの出費もありません。

将来を見据えて最善の選択を

マンションと戸建てどちらにするかは、将来の計画を踏まえて判断する必要があります。将来の子育てやライフスタイルの変化を考慮すると、一戸建ての方が適しているかもしれません。交通の便や周辺環境、予算なども考慮する必要があります。

夫婦間で何を一番重視するかをしっかり話し合って最適な選択をしましょう。

Q

住宅ローン控除や、固定資産税といった税金関係について教えてください

A 不動産と税金について簡単に解説します

住宅ローン控除について

住宅ローン控除とは、正式名を住宅借入金特別控除といい、入居時から13年間(既存住宅および増改築は10年間)所得税や住民税が控除される制度のことです。

10年以上の住宅ローンを組んでいることと、所得が2000万円以下であることが条件です。

この制度により年末時点での住宅ローンの残高の0.7%が控除されます。

例えば年末の残額が3000万円だった場合、30,000,000円×0.007で210,000円が控除されます。
※住宅の種類と環境性能ごとに定められた最大控除額が変わります。

毎年残額は減っていくので、控除額も減っていきますが13年間も減税できるのは大きなメリットですね。

固定資産税について

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地、建物、または償却資産の所有者に対し、その固定資産の評価額に基づいて算定される税金です。

固定資産の所有者に対して、納税通知書が4~6月頃に送られてきます。支払い回数は1回か4回が選べます。4回払いの場合は、4~6月、7~9月、9~12月、2月の4回に分けて納税します。

固定資産税は、所有する固定資産の評価額(課税標準額)に、地方自治体が定める税率を掛けて求められます。一般的な標準税率は1.4%ですが、地方自治体によって異なる税率が適用される場合があります。

固定資産税額は以下のように表されます。

固定資産税額 = 評価額(課税標準額) × 税率(標準は1.4%)
※評価額はざっくり土地の価格・建築費用の7割ぐらいです。

この式に基づいて、評価額に対して地方自治体が定めた税率を掛けて固定資産税額が計算されますが、このままだととんでもない金額になりますよね?

例えば1,500万の土地だと1,500万円×70%=1,050万円これに1.4%をかけて147,000円
その上に3000万円の新築を建てると3000万円×70%=2100万円に1.4%で294,000円
合わせて441,000円です。

しかし、ほとんどの方が特例措置でここから減税されるのでご安心を。

・住宅用地の特例
住宅1戸につき、200平方メートルまでは評価額が6分の1、それ以上は評価額が3分の1に

・新築住宅の特例
居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であれば固定資産税が2分の1になります

これでさっきの例の場合、だいたい18万円程度になります。

Fudousan Plugin Ver.6.4.0